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症状一覧
睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠外来
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep-Apnea-Syndrome: SAS)は、睡眠中に呼吸が停止または低下するエピソードが繰り返し発生し、睡眠の質が低下する障害です。最も一般的なタイプは閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)で、気道が閉塞されることで起こります。睡眠中に繰り返される呼吸停止や低下によって血中酸素濃度が低下し、睡眠が断続的に中断されます。これにより、深い眠りが妨げられたり、日中の眠気や疲労感が出現したり、将来の心血管疾患や糖尿病などのリスクが高まります。1時間あたり5回以上、1回の呼吸停止が10秒以上続く場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
有病率
- 一般人口における有病率:成人の約2〜7%が睡眠時無呼吸症候群といわれています。特に中年以降の男性では有病率が高くなります。肥満の人に多いといわれていますが、肥満でない人も発症します。
- 性差:男性が女性よりも3倍ほど発症リスクが高いとされていますが、女性も更年期以降に発症率が上昇します。
- 子供:小児では2〜3%の発症率があり、特に扁桃肥大やアデノイド(咽頭扁桃)が関連していることが多い。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる人の特徴 |
肥満・小さいあご・小顔・太い(短い)首・男性・閉経後の女性・加齢・家族歴(遺伝)・鼻づまりなどの鼻症状・アルコール・睡眠薬・たばこ・アデノイドや扁桃肥大・口呼吸・舌が後方に落ち込む |
症状
- 睡眠中:大きないびき、呼吸停止、頻繁な覚醒、寝汗。
- 日中:強い眠気、頭痛、集中力の低下、イライラ、不安感、気分の変動。
- 日中の居眠り:SASの人が交通事故を起こす頻度は、一般ドライバーの2.5倍といわれています。
- 突然死:重症SAS患者の突然死リスクは健常者の約2.6倍といわれています。
合併症
- 高血圧:SAS患者の50%に高血圧が合併するといわれています。
- 糖尿病:無呼吸によって低酸素状態になると、結果としてインスリンの動きが悪くなり糖尿病に関連することがわかっています。SASの重症度が高いほど、糖尿病の合併率が高まるといわれ、習慣的にいびきをかく人は糖尿病のリスクが2倍となるとされています。
- 脳血管疾患:睡眠時無呼吸症候群の患者は、健常者と比べて脳卒中の発症リスクが3倍高まるといわれています。
検査
- 簡易睡眠検査:自宅で行える簡易的な睡眠検査です。酸素濃度、呼吸パターン、心拍数などを測定し、無呼吸の有無を確認します。
- ポリソムノグラフィー(PSG):最も標準的な検査で、睡眠中の脳波、眼球運動、筋活動、心電図、呼吸の流れ、酸素飽和度を測定します。これにより無呼吸や低呼吸エピソードの頻度や重症度を評価します
治療法
- 持続陽圧呼吸療法(CPAP):睡眠中にマスクを装着して気道に一定の空気圧をかけ、気道の閉塞を防ぐ最も効果的な治療法です。無呼吸・低呼吸を減少させることで、睡眠時無呼吸症候群の症状を緩和し、合併症の予防にも効果があります。
- 口腔内装置(マウスピース):軽度~中等度の閉塞性睡眠時無呼吸に対して、下顎を前に出すことで気道を広げるマウスピースを使用します。
- 手術的治療:扁桃腺肥大やアデノイドの切除、軟口蓋の縮小手術、顎の位置の矯正手術などが行われることがあります。重度の症状や他の治療が効果を示さない場合に適用されます。
予後
CPAPの継続使用:CPAPを長期的に使用することで、無呼吸エピソードはほぼ完全に解消され、日中の機能が回復します。また、心血管系疾患のリスクも低減します。
最後に
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が繰り返し中断することで、日中の眠気や集中力低下を引き起こし、心血管疾患などの重大な健康リスクが高まる疾患です。適切な検査と治療によって、症状の管理が可能です。当院では、スクリーニング検査から治療までSASの診療を行っております。SASの心配がある方はいつでもご相談ください。