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症状一覧
睡眠・覚醒相後退障害
- 睡眠外来
睡眠・覚醒相後退障害とは
睡眠覚醒相後退障害(Delayed Sleep-Wake Phase Disorder: DSWPD)は、自然な睡眠・覚醒のリズムが通常より遅れており、遅い時刻に就寝し、朝起きるのが難しい状態を特徴としています。学校や仕事など、社会的なスケジュールに適応できないため、日中の機能低下が起こるとされています。思春期など若年者に多くみられる疾患です。
症状
- 睡眠スケジュールの遅れ:就寝時刻が通常の社会的な時刻よりも2時間以上遅れる。
- 入眠・覚醒の困難:夜中まで寝付けず、朝起きることが難しい。適切な環境でも夜遅くまで眠れない。
- 日中の影響:慢性的な睡眠不足による日中の疲労、集中力低下、仕事や学校でのパフォーマンス低下
<睡眠表から見る睡眠・覚醒相後退の例>
(黒く塗りつぶされているところが睡眠している時間)
有病率
全人口における有病率: DSWPDの有病率は全人口の約0.2〜1.7%と推定されています。好発年齢は、思春期の若者や青年に多く見られ、特に10代後半から20代前半の人々で有病率が高い疾患です。性別差については男性・女性で大きな違いはありませんが、特に生活リズムが不規則な人々が発症しやすいといわれています。
治療
治療は、睡眠衛生の改善、生活習慣の調整が基本となります。
- 高照度光療法(ブライトライトセラピー): 朝の早い時間に強い光を浴びることで、体内時計をリセットし、睡眠リズムを前倒しに調整します。特に早朝の光照射が効果的です。
- 時間調整療法:徐々に就寝時間と起床時間を早めることで、規則正しい睡眠リズムに戻します。
- 睡眠衛生の改善:就寝前の刺激的な活動やスマートフォンやタブレットなどのデバイスの使用を避け、リラックスした環境を作ることが推奨されます。
- 薬物療法:就寝前に少量のメラトニンを投与することで、体内時計を早め、入眠を促進します。ただし、医師の指導の下で使用することが推奨されます。発達症の児童ではメラトニンを使用しますが、日本で成人に対しメラトニンは投与できないため、メラトニン受容体作動薬を使用します。
最後に
睡眠覚醒相後退障害は、特に若年層でよく見られる睡眠障害で、遅い就寝・起床スケジュールが特徴です。光療法やメラトニン療法が有効な治療法であり、治療によってリズムの調整が可能ですが、生活習慣の再調整が求められ、再発のリスクも存在します。また、双極性障害や発達障害などが背景に存在する場合が少なくないため、症状が続く際には受診をご検討ください。