Symptoms005
症状一覧
うつ病
- 心療内科・精神科
●うつ病とは
うつ病は気分障害の一種で、悲しみの感情が持続し、かつて楽しんでいた物事や活動への興味が失われたり、思考、記憶、食事、睡眠に困難が生じることもある精神疾患です。
失業や離婚など、人生の困難な状況に対して悲しみを感じるのは普通のことです。そのような落ち込んだ気分は、原因が解消されたり、気分転換をしたり、ある程度時間が経過したりすることで次第に癒され回復していきます。しかし、うつ病では、気分が落ち込むような明らかな原因が存在しない場合や、原因となっていた問題が解決しても気分が回復しません。仕事や学校に行けない、動くことができない などの症状が少なくとも2週間ほぼ毎日続き、日常生活に大きな支障をきたします。日本におけるうつ病の生涯有病率は6.7%で、およそ15人に1人がうつ病を経験していると言われています。
●症状
一般的に、うつ病の症状には次のようなものがあります。
- 深い悲しみや絶望な気持ち、または不安な気持ちが継続する(子供や若年者では、イライラしやすくなることもある)。
- 今まで楽しめていたことが楽しめなくなる。
- 食欲の低下または増加。体重の減少または増加。
- 睡眠障害(不眠または過眠)。
- 集中したり、決断したり、物事を記憶したりするのが困難になる。
- 自傷行為や自殺を考えている。
●治療
うつ病治療は「休養」「環境調整」「薬物治療」「精神療法」が基本であり、80~90%のうつ病患者が治療に反応します。
治療の選択肢には以下のものがあります。
- 心理療法:代表的なものとして、認知行動療法、対人関係療法などがあります。不健康な感情、思考、行動を特定し、それを変えるのを治療者が手伝います。
- 薬物療法:最も一般的なうつ病の治療方法です。抗うつ薬には種類があり、自分に最適なものを見つけるには時間がかかる場合もあります。一部の抗うつ薬には副作用がありますが、多くの場合、時間の経過とともに改善します。
- ニューロモデュレーション療法:電気けいれん療法(mECT)、経頭蓋磁気刺激(rTMS)などがあります。重度のうつ病や、薬物療法の効果が不十分な場合に用いられます。
●予後
うつ病が回復するまでの過程は、大きく3つの段階に分けられます。
- 急性期:うつ病の診断を受けてから、十分な休養をとりながら適切な薬物治療を開始することで、1~3カ月ほどで症状が軽快します。抗うつ薬による治療は少量から様子を見ながら開始し、徐々に必要な量まで増量します。
- 回復期:気分が上下はあるものの、徐々に調子の良い日が増えていきます。調子の良い日に無理をしたり、薬を止めてしまったりすると、症状が悪化して回復まで時間がかかってしまうこともあります。
- 再発予防期:うつ病はほとんどの人が寛解に至りますが、再発率が高い病気で、症状がなくなってから1年後の再発率が約40%という報告もあります。また、過去にうつ病を2回繰り返した人の再発率は約70%、3回以上繰り返している方再発率は約90%とされ、繰り返すほど再発しやすくなるため、注意が必要です。
●最後に
うつ病は、何百万人もの人々を悩ませている一般的な病気です。老若男女問わず、誰もがうつ病を経験する可能性があります。
うつ病は治療可能な疾患であるため、うつ病の症状が1週間以上続く場合や自殺念慮がある場合は、精神科を受診してください。治療の開始が早いほど回復までの時間も早くなる可能性が高いため、早めの受診をご検討ください。